【体験談】就労支援のスキルアップは企業見学が近道

企業見学までの流れと体験談

就労支援でのスキルアップは、実際の企業を自分の目で見ることから始まります。

就労支援でスキルアップしたいと思っても、1人では企業見学に行けず、問い合わせの電話もかけられない方は少なくありません。それは意欲の問題ではなく、同行してくれる人がいないだけです。

当事業所には、利用者4名とスタッフ2名で企業見学へ行き、初めて自分の課題と強みが見えた方がいます。

大切なのは、以下の5つのステップです。

  • ステップ①気になる求人を自分で検索して書き出す
  • ステップ②グループワークで他の人の仕事観に触れる
  • ステップ③企業への問い合わせ方法を本人と決める
  • ステップ④見学前のマナー勉強会で当日に備える
  • ステップ⑤見学後の振り返りで自分の現在地を確認する

この記事では、企業見学で適職が見えた実例、実際に踏んだ5つのステップ、当事業所の特徴、よくある質問まで解説します。

企業見学がスキルアップにつながった実例

男女五人組が見学先で撮った集合写真

当事業所は、一般就職を目指す利用者が半数を占めています。その中でくり返し聞こえてくるのが、「自分がどこまでできるのかわからない」という声です。この不安は、事業所の中だけで作業を続けていても解消されません。

求められる基準を知らないまま自己評価だけを重ねても、判断材料が増えないためです。そこで当事業所が重視しているのが、企業見学への同行です。実際に見学へ行った2つの実例を紹介します。

実例①利用者4名とスタッフ2名で軽作業の企業を見学した

きっかけは、利用者一人ひとりが自分で求人検索を行ったことでした。気になる求人を各自が調べたあと、複数の利用者とスタッフで求人や就職に関するグループワークを実施しています。

ここで得られたのは、求人情報そのものよりも、他の人が仕事に何を求めているのかという価値観でした。給料を重視する人、人間関係を重視する人、通いやすさを重視する人と、判断軸は驚くほど違います。

次のステップとして、「見学大歓迎」と記載のあった軽作業系の求人に、スタッフが企業へ問い合わせを行いました。複数人でも歓迎との回答を得たため、求人検索を行った利用者だけでなく、一般就職を視野に入れている利用者全員へ呼びかけています。

結果として、利用者4名とスタッフ2名の計6名で見学に行くことになりました。前日には企業見学のマナーについて勉強会を実施しています。

当日は、事業所の外部の方に対して、あいさつやお礼、質問といったビジネスマナーを意識して行動できました。普段触れることのない仕事、そこで働く人たち、働くうえで大切にされていることを、実際に見て聞くことで理解が深まっています。

一方で、人の話を聞く姿勢や適切な言葉遣いについては課題も見えました。この「できたこと」と「まだ足りないこと」が同時に見えた点こそ、企業見学の最大の価値です。課題が具体的にわかったため、後日それぞれの利用者と振り返りを行えました。就職に対する価値観が少し変化した方もいます。

企業見学は、その人が働くうえで向き合うべきことに、自然と向き合える機会になりました。

実例②スタッフと2人で見学し希望職種が変わり就職した

もう一つは、スタッフと2人で企業見学に行ったケースです。以前から気になっていた企業で、見学前に求人票からいくつかの職種があることを確認していました。

もともと本人が希望していたのは事務系の仕事です。ところが当日は他の見学者も同席する見学会だったため、各職種への希望者の数や、実際の仕事内容を具体的に知る機会になりました。

その結果、当初は選択肢に入れていなかった別の職種への興味が深まっています。求人票の文字情報だけで適職を決めていたら、この方の可能性は事務系という枠の中に閉じたままでした。

本人は積極的に質問をしたうえで、面接練習を経て無事に就職しています。

適職探しに関して、公的機関の研究でも同じ方向性が示されています。障害者職業総合センターは、効果的な就労支援に必要な知識・スキルを16領域65項目に整理しており、そこには障害者の自己理解・自己選択・自己決定の支援や、職場(実習中含む)への適応支援が独立した領域として位置づけられています。

自己理解と職場体験は、支援の現場において別々の作業ではなく、同じ地図の上にある要素です。

出典:障害者職業総合センター「効果的な就労支援に必要な知識・スキル等とその充足のための取組」

就労支援でスキルアップを実現する5つのステップ

ここで紹介するのは、今回の企業見学で当事業所が実際に踏んだ流れの一例です。決まった型があるわけではなく、その方の状態や希望に応じて、順番も内容も変わります。大切なのは手順をなぞることではなく、自分の力でできる部分と、人に任せてよい部分を分けて進めることです。

全部を1人で抱える必要は、まったくありません。

ステップ①気になる求人を自分で検索して書き出す

今回は、利用者一人ひとりが自分の手で求人を検索するところから始めました。応募するためではなく、自分が何に反応するのかを知るための作業です。給料の額に目が行くのか、勤務時間に目が行くのか、仕事内容に目が行くのか。

選んだ求人の並びには、自分でも気づいていない優先順位が表れます。検索そのものが苦手でも問題はありません。スタッフが一緒に画面を見ながら、条件の絞り込み方をお伝えします。

ステップ②グループワークで他の人の仕事観に触れる

今回は、集めた求人を持ち寄って、複数の利用者とスタッフでグループワークを行いました。ただし、これは必須の工程ではありません。人数が揃わない時期もありますし、大勢の場が負担になる方もいます。その場合は、スタッフと1対1で同じ話をする形に切り替えています。

狙いは正解を決めることではなく、他の人が同じ求人票の別の箇所を見ていると知ることです。自分の判断軸を相対化できると、選択肢の幅が自然に広がります。

ステップ③企業への問い合わせ方法を本人と決める

見学したい企業が決まったら、誰がどう連絡するのかを本人と相談して決めます。今回のケースでは、スタッフが代理で企業へ問い合わせを行いました。一方で、本人が自分で電話をかけた例もあります。代理連絡は「本人にはできない」という前提ではなく、今できることに集中するための選択肢のひとつです。

やってみたい方には、スタッフが横で聞いている状態で電話をかける進め方も用意しました。段階を分けられるため、いきなり全部を1人で背負う必要はありません。

ステップ④見学前のマナー勉強会で当日に備える

今回は見学の前日に、企業見学のマナーについて勉強会を実施しました。あいさつの仕方、お礼の伝え方、質問のタイミングといった具体的な内容です。事前に型を知っておくと、当日の緊張が大きく減ります。実際に見学へ行った利用者は、外部の方に対してビジネスマナーを意識した行動ができました。

準備の量は人によって変わります。短い確認だけで十分な方もいれば、時間をかけて練習する方もいて、そこは本人の希望に合わせて調整いたしましょう。

ステップ⑤見学後の振り返りで自分の現在地を確認する

見学が終わったら、後日スタッフと一緒に振り返りを行います。ここは、進め方が変わっても外さない工程です。見学中に見えた課題をそのまま流してしまうと、体験は思い出で終わります。

話を聞く姿勢、言葉遣いといった具体的な項目を本人と共有すると、次に何を練習すればよいのかが明確になりました。自分がどこまでできるのかという問いには、実際の職場に出て、他者からのフィードバックを受けて初めて答えが出ます。この積み重ねが、就労支援におけるスキルアップの実体です。

パソコンで求人を検索し、支援員と相談しながら就職活動を進める利用者

就労支援でのスキルアップなら、なないろクリエイター

当事業所は、岡山県倉敷市中庄で就労継続支援B型事業所を運営する、なないろクリエイターです。管理者は精神科看護師としての勤務経験があり、看護師が常駐する体制で身体面と仕事面の両方をサポートしています。

当事業所の特徴は、利用者の半数が一般就職を目指している点にあります。求人検索、企業への問い合わせ、見学同行、マナー勉強会、面接練習まで、就職へ向かう工程を一貫して用意しました。

作業内容は、動画編集やSNS運用、出荷代行、軽作業、メタバース・VR制作まで幅広く揃えています。いずれもブランド企業やEC事業者から実際に依頼を受けている業務です。工賃も他の事業所と比べて高い水準を維持しており、作業実績の証明書も発行いたします。

1人では企業見学に行けない、自分に何ができるかわからないという段階でも大丈夫です。まずは見学・体験からご相談ください。電話が苦手な方は、LINEからのお問い合わせも受け付けています。ご本人のペースに合わせて、一歩ずつ伴走いたします。

就労支援でのスキルアップでよくある3つの質問

質問①人と話すのが苦手でも企業見学に参加できますか

参加できます。実際の見学では、スタッフが同行して質問の仕方をサポートするため、無理に自分から話しかける必要はありません。

見学前のマナー勉強会で、あいさつやお礼の型を練習しておけば、当日は覚えた通りに動くだけで済みます。話す力よりも、事前に準備された型があるかどうかのほうが、当日の安心感を左右します。

複数人での見学が可能な企業もあり、他の利用者と一緒に参加する形も選べました。

質問②何年もブランクがありますがスキルアップできますか

可能です。B型には利用期間の制限がなく、短時間の通所から始められるため、生活リズムを整えるところからスタートできます。当事業所には、半日の通所から始めて、段階的に日数を増やし、2度目の挑戦で一般就労を実現した方もいます。

詳しい経過は【実例】B型から一般就労した3つの方法でも紹介しました。ブランクの長さより、再開したあとの積み上げ方のほうが結果を左右します。

質問③企業見学に行ったら必ず応募しなければなりませんか

応募の義務はありません。見学は、その企業に入るかどうかを決める場ではなく、自分に合う仕事かどうかを確かめる場です。実際、今回の見学に参加した4名のうち、その企業へ応募した方ばかりではありません。「ここは違う」とわかることも、見学で得られる立派な収穫といえます。

合わないと感じた理由を振り返ると、自分が仕事に何を求めているのかが逆算で見えてきます。

就労支援でスキルアップし、自分に合う働き方を見つけよう

スキルアップという言葉を、資格や技術の習得だけで考える必要はありません。自分がどこまでできるのかを知り、次に何を練習すべきかがわかる状態こそ、最初のスキルアップです。

今回の見学で実際に踏んだのは、以下の5つのステップでした。

  • ステップ①気になる求人を自分で検索して書き出す
  • ステップ②グループワークで他の人の仕事観に触れる
  • ステップ③企業への問い合わせ方法を本人と決める
  • ステップ④見学前のマナー勉強会で当日に備える
  • ステップ⑤見学後の振り返りで自分の現在地を確認する

なお、本文では触れませんでしたが、全国の都道府県に設置されている地域障害者職業センターでは、職業評価という無料のサービスを受けられます。作業検査や面談を通じて職業能力を客観的に把握できる仕組みで、事業所の利用と並行しての活用も可能です。詳しくはご確認ください。

働いて得られるものは、金額だけではありません。生活のリズムが整うこと、誰かに頼られること、自分の得意が誰かの役に立つと知ること。どれも数字には表れませんが、次の1日を始める力になります。

企業見学へ行った利用者が口を揃えて言うのは、「行く前より、行った後のほうが不安が減った」という感想です。想像の中の職場はいくらでも怖くなりますが、実物にはちゃんと輪郭があります。

その1歩を、1人で踏み出す必要はありません。連絡も、同行も、振り返りも、隣に人がいる状態で進められます。自分に合う働き方は、机の上で考えるより、現場を1度見たほうが早く見つかります。

高齢・障害・求職者雇用支援機構の案内ページ

見学・体験を受け付けています

事業所の雰囲気や実際の作業の様子は、来ていただくのが一番わかります。ご本人だけでも、ご家族だけでも構いません。「まだ通えるか分からない」という段階でのご相談も歓迎です。

お電話でも受け付けています 080-7844-7543 (9:00〜17:00)